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ハードディスクの寿命・故障を調べる - 健康状態チェック・フリーソフト(CrystalDiskInfo、S.M.A.R.T.)

更新:

HDD(ハードディスクドライブ)やSSDの寿命、使用時間、健康状態の確認、CrystalDiskInfo、S.M.A.R.T.などについて。
対象 : Windows 10/8.1/7/Vista/XP

HDD・SSDの寿命・故障を調べる

HDDの健康状態を調べるフリーソフト

HDDに異常がないか調べられるフリーソフトは数多くあるが、国内では CrystalDiskInfo がよく使われているようだ。
SSDが普及している2017年現在、SSDの健康状態も調べられる。
ベクターのサイト ディスクドライブ用 にHDDの健康状態を確認できるソフトがいくつかある。
これらのソフトは、HDDに設定されている各検査項目を数値で表示してくれる。
検査項目は、S.M.A.R.T.というもので定められていて、多くのHDD検査ソフトで導入されている。
また、S.M.A.R.T.で表示される項目はHDDの種類によって異なり、多くの項目を表示するものもあれば、基本的な項目のみ表示するものもある。
S.M.A.R.T.についてはWikipediaの Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology の記事に詳しく書かれている。

CrystalDiskInfo の使い方

CrystalDiskInfo を起動すると、ドライブ(HDDやSSD)の型番、温度、使用時間、電源投入回数、各種検査項目などが表示される。
ドライブに問題がなければ「正常(青色)」と表示される。
問題がある場合は「注意(黄色)」や「異常(赤色)」と表示される。
重要な項目としては以下のものがある。

  1. リードエラーレート(Raw Read Error Rate)
  2. 代替処理済のセクタ数(Reallocated Sectors Count)
  3. スピンアップ再試行回数(Spin Retry Count)
  4. セクタ代替処理発生回数(Reallocation Event Count)
  5. 代替処理保留中のセクタ数(Current Pending Sector Count)
  6. 回復不能セクタ数(Off-Line Scan Uncorrectable Sector Count)

これらの項目に問題がある場合、黄色(注意)などで表示される。
例えばリードエラーレートは、「現在値(今現在の値)」や「最悪値(過去に記録した最悪の値)」が「しきい値(閾値)」を下回ると注意される。
セクタ関連の項目は「生の値」が "0" 以外の場合に注意されるようだが、"0" 以外の値でも「正常」と表示される場合があるようだ。

S.M.A.R.T.の情報に関しては、ある項目が「注意」と表示されていても、基本的にはすぐにドライブが故障するというわけではない。
セクタ関連の値が短期間(1時間、1日など)で変化する場合、何か問題がある可能性もあるが、問題ない場合もあり、とりあえず注視する必要がある。
HDDの種類はたくさんあり、S.M.A.R.T.の表示も様々なので症状を断定するのは難しい。

HDDの寿命について

パソコンを使う人にとって大切なデータが保管されているHDDは、壊れると最も困るものだ。
HDDの寿命に関しては多くの議論・検証があり、そのデータやS.M.A.R.T.などの情報は参考にはなるが、自分のHDDの寿命予測を保障するものではない。
日頃から重要なデータはバックアップを取るなどの対策はしておきたい。

HDDの寿命を延ばす(縮めない)ために、熱や衝撃に注意したり、頻繁に電源をオンオフしないなどの話を聞く。
また、デフラグをした方が良いという意見と良くないという意見がある。
デフラグ賛成派は、断片化されたデータが多いとHDDのヘッドの移動が多くなり、HDDの寿命に影響すると主張している。
デフラグはヘッドを動かしてデータを整理するので、その作業自体も寿命に影響するということでデフラグ反対派もいる。
個人的には、断片化されたデータが多いのは良くないと思うが、あまり頻繁にデフラグする必要もないのではと思う。
では、どのくらいの頻度でデフラグすれば良いのかと言われると、断片化の進行具合は人それぞれなので、頻度も人それぞれということになる。
とりあえず、Windowsに標準搭載のデフラグツールで最適化を推奨されたらデフラグすれば良い。

HDDの寿命は、HDDメーカーの仕様としては稼働時間で言うと何十万時間もあるようだ。
例えば10万時間の場合、1日12時間毎日使うとすると約22年になる。
また、パソコンやサーバなどは保証期間が3年くらいが多いので、サーバを3年間フル稼働させると 24時間 x 365日 x 3年 = 26,280 時間。

パソコンを1日10時間250日3年間稼働させると、10時間 x 250日 x 3年 = 7,500 時間。
この程度の使用時間なら欠陥品に当たらない限り、HDDの寿命が来る前にPCの買い替え時期が来ることになるだろう。

パソコンを1日10時間365日5年間稼働させると、10時間 x 365日 x 5年 = 18,250 時間。
私の場合、今まで使用した何台かのパソコンは2万時間前後で「注意」という警告が出るか、正常でもやや調子が悪いと感じるので、2万時間辺りからHDDの挙動に注意している。
HDD CrystalDiskInfo

HDDの異常は目や耳で分かる場合がある。
  • HDDから異音
    HDDから変な音が聞こえ始めたら、HDDが機械的・物理的に壊れ始めた可能性がある。
    HDDの異音はYouTubeで検索するといくつか動画が見られる。
  • ブルースクリーン
    ハードウェア障害により、たまにブルースクリーンになりパソコンが落ちる場合、HDDに問題がある可能性がある。
    ただし、HDD以外のハードウェアに異常がある場合もあるので検証が必要。
    とりあえず簡単に検証できるのがメモリのテスト。
    SATAのケーブルをきちんと挿していないなど、ケーブル類の接触不良でもブルースクリーンになることがある。
    簡単に検証できるところから検証し、それでも問題があればHDDを交換してみる。


SSDの寿命

SSDにも寿命があり、書き込みできる量に限界がある。
おおよその限界はメーカーの仕様に書かれている場合があり、72~220TBまで製品により様々。
CrystalDiskInfo では今まで書き込んだ量が「総書込量(ホストまたはNAND)」に表示される。
「総書込量(NAND)」が表示される製品はそれを確認する。
またHDD同様、仕様に平均故障時間(MTTF)が書かれている場合があり、Crucial BX300や BX200 は150万時間となっている。
何れにしても、相当酷使するか、長年使わない限り、仕様の限界に達することはない。


HDD の S.M.A.R.T.

以下、CrystalDiskInfoによる各HDDのS.M.A.R.T.。
検査項目の値は、「現在値」「最悪値」「しきい値」「生の値」の順に記している。
比較的新しいHDDは Western Digital WD Blue 3TB WD30EZRZWestern Digital WD RED 4TB WD40EFRXHGST HMS5C4040ALE640 に書いた。

WDC WD800JD-75MSA3 80.0GB(Western Digital)
項目
健康状態 正常
電源投入回数 191 回
使用時間 8,417 時間
リードエラーレート 200, 200, 51, 000000000000
代替処理済のセクタ数 200, 200, 140, 000000000000
スピンアップ再試行回数 100, 100, 51, 000000000000
セクタ代替処理発生回数 200, 200, 0, 000000000000
代替処理保留中のセクタ数 200, 200, 0, 000000000000
回復不能セクタ数 200, 200, 0, 000000000000

WDC WD2500JS-75NCB3 249.9GB(Western Digital)
項目
健康状態 正常
電源投入回数 141 回
使用時間 12,781 時間
リードエラーレート 200, 200, 51, 000000000000
代替処理済のセクタ数 200, 200, 140, 000000000000
スピンアップ再試行回数 100, 100, 51, 000000000000
セクタ代替処理発生回数 200, 200, 0, 000000000000
代替処理保留中のセクタ数 200, 200, 0, 000000000000
回復不能セクタ数 200, 200, 0, 000000000000

HDS72251VLAT20 164.6GB(日立)
「注意」という評価だが、今のところ使用上特に問題なし。
項目
健康状態 注意
電源投入回数 2,220 回
使用時間 25,444 時間
リードエラーレート 86, 86, 60, 0000003A0040
代替処理済のセクタ数 100, 100, 5, 000000000002
スピンアップ再試行回数 100, 100, 60, 000000000000
セクタ代替処理発生回数 100, 100, 0, 000000000000
代替処理保留中のセクタ数 100, 100, 0, 000000000001
回復不能セクタ数 100, 100, 0, 000000000000

TOSHIBA MK2003GAH 20.0GB(東芝)
これはノートパソコンの2.5インチHDDで、「注意」という評価。
とりあえず使えていたが、異音が気になり、たまにPCがフリーズし、最終的には起動しなくなった。
項目
健康状態 注意
電源投入回数 1,245 回
使用時間 16,922 時間
リードエラーレート 100, 100, 50, 000000000000
代替処理済のセクタ数 100, 100, 50, 000000000060
スピンアップ再試行回数 133, 100, 30, 000000000000
セクタ代替処理発生回数 100, 100, 0, 000000000053
代替処理保留中のセクタ数 100, 100, 0, 000000000006
回復不能セクタ数 100, 100, 0, 000000000000

ST340014A 39.9GB(Seagate)
項目
健康状態 正常
電源投入回数 1,429 回
使用時間 8,245 時間
リードエラーレート 66, 61, 6, 00000AF95F57
代替処理済のセクタ数 100, 100, 36, 000000000000
スピンアップ再試行回数 100, 100, 97, 000000000000
代替処理保留中のセクタ数 100, 100, 0, 000000000000
回復不能セクタ数 100, 100, 0, 000000000000

Maxtor 6Y160P0 160.0GB(Maxtor)
これは値を見る限り正常だが、正常な気がしないHDD。
使用時間が "?" になるのはMaxtorの仕様。
使用時間はおそらく10,000時間は超えている。
項目
健康状態 正常
電源投入回数 1,897 回
使用時間 ? 時間
代替処理済のセクタ数 253, 253, 63, 000000000000
スピンアップ再試行回数 253, 252, 157, 000000000000
セクタ代替処理発生回数 253, 253, 0, 000000000000
代替処理保留中のセクタ数 253, 253, 0, 000000000000
回復不能セクタ数 253, 253, 0, 000000000000

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