はてなブックマーク
X
Bluesky
Facebook
Pocket

ルーン文字とラテン文字の対応

更新:

日本でアルファベットというとA、B、Cなどのラテン文字を指すことが多いが、ルーン文字もアルファベットであり、Runic Alphabets などと書かれる。 ここではA、B、Cなどをラテン文字と呼ぶことにする。

ふと興味がわき、ラテン文字をルーン文字に変換するツールを作ろうと考えた。 調べてみると、ゲルマン共通やアングロサクソンなどいろいろ種類があり、問題点が主に以下の2つあった。

  • ラテン文字は26文字あるが、ルーン文字はそれに該当するものがないものがある。 ただし、種類の異なるものを混在させれば26文字に対応できる。
  • ルーン文字の種類、使われた時代や地域により字体が異なるものがある。 また、同じ字体のものが時代によって別のラテン文字に該当する場合もある。

とりあえず、分かりやすいように一覧表を作ることにした。 日本語版Wikipediaにもルーン文字の説明があるが、英語版の方が詳しそうなので Runes を参考にし、Transliteration をもとに該当するラテン文字を割り当て、A~Zの対応表を作り、下表に記した。

ゲルマン共通ルーン

最もよく出てくると思われるのが、このゲルマン共通ルーン文字である。 特に占い関連がよく出てくる。 ゲルマン・フサルクやエルダー・フサルクとも呼ばれている。

ラテン文字に該当する文字は、C、Q、V、X、Y の5文字が足りない。 ただ、ルーン文字「ᚲ」がラテン文字の「K」だけでなく「C」にも使われる場合もあるようで、下表では括弧書きで書いた。 割り当ては Elder Futhark などを参考にした。

ルーン文字「ᛇ」をラテン文字「Y」に割り当てている人もいるようだが、Wikipediaやその他サイトにはそういう説明は見当たらない。 Transliteration の「ï」の上の点々をつなげると「Y」に見えなくもない。 それとも意味である yew の頭文字が「y」だからだろうか? ただ、ルーン文字のフォントを探していたら、海外製のフォントで「ᛇ」を「Y」としているフォントを見かけた。

アングロサクソンルーン

次によく見かけるのがアングロサクソンルーンだ。 ラテン文字に該当するものは、K、Q、V、Z が足りない。 割り当ては Anglo-Saxon runes などを参考にした。 そのページをよく見ると、ルーン文字「ᛣ」がラテン文字「K」、「ᛢ」が「kw(Q)」に該当するような記述があるので、下表でもそのように割り当てた。 これで足りない文字は2つとなり、ゲルマンより表が埋まった。

上述の通り、同じ字形でも別のラテン文字に該当するものがある。 例えば、ルーン文字「ᛉ」はゲルマンではラテン文字「Z」、アングロサクソンではラテン文字「X」となっている。

中世ルーン

Wikipedia にて Medieval runes という、A から Z までほぼ対応できるルーン文字を見つけた。 日本語ではどう呼ぶか分からないが、ここでは中世ルーンと書くことにする。

ラテン文字に該当するものは J のみ足りない。 ただ、J は I と共通のようで、下表では同じものを記した。 また、該当する文字が複数あるものは複数記した。

ラテン文字「V」に相当するものは、ラテン文字「U」に相当する「ᚢ」が併記されていて、後述のトールキンのものも「ᚢ」を使用している。 そのため、ゲルマンやアングロサクソンもラテン文字「U」と「V」に相当するものは共通の可能性もある。 実際そういう割り当て方をしている人もいる。

とりあえず全てのラテン文字に対応できるが、個人的には26文字がユニークな方が逆変換で元に戻せるので嬉しい。

ウルティマオンライン

ウルティマオンラインという古いオンラインゲームがあり、ゲーム内でルーン文字が使われていて、 ウルティマオンライン ルーン文字 を見ると、A から Z までルーン文字を割り当てている。

これはアングロサクソンルーンをもとにしているようだが、上述の通りアングロサクソンはラテン文字に該当するものが足りないので、それは適当に割り当てているようだ。 また、Wikipedia 等に記してあるアングロサクソンルーンと字形が異なるものもある。

下表のウルティマオンラインのものは、Unicode に規定されている字形が近いものを記した。 一応26文字がユニークになっている。

J・R・R・トールキン

さらに調べていたら Modern runic writing - Wikipedia にトールキンが使っていたルーン文字を見つけた。 トールキンとは、指輪物語で有名な人物である。 近現代ではこういった創作物にルーン文字が使用されることもある。

トールキンが使っていたものはアングロサクソンルーンをベースとしている。 一応26文字に対応でき、下表のように割り当てられている。 注意点としては、ラテン文字「I」と「J」、および「U」と「V」に相当するものが同じになっている。 また、ラテン文字「Q(qu)」に相当するものは、ラテン文字「C」と「W」に割り当てている「ᚳ」と「ᚹ」を合わせて「ᚳᚹ」と記述している。

Unicode

Unicode の U+16A0 ~ U+16F8 にルーン文字が定義されている。 下表には Unicode の説明にある該当するものを記した。 時代や地域によって該当する文字が複数あるものは複数記した。

ただ、明確に特定のラテン文字を示している説明があるものだけ記した。 例えば、ゲルマンルーンで使われている「ᚲ」は「KAUNA」と説明があるので、下表の「K」のところには記していない。

諸説あります

ルーン文字を説明しているサイトはたくさんあるが、サイトによって字形や該当するラテン文字の説明が異なる。 海外製のフォントを見ても、作者によって字形がまちまちで、何をもとにしているか分からないものもある。 まあ、古代の文字なので正解は分からないというか、そもそも正解などないのかもしれない。 とりあえず、私は海外の Wikipedia や Unicode の説明を参考にしている。

このページの説明文や下表に書いているルーン文字は、画像ではなく Unicode で記している。 そのため閲覧環境によっては表示されないかもしれない。

Windows 10 は意外にも優秀で、Unicode の U+16A0 ~ U+16F8 まで全て表示できている。 特にフォントをインストールしたわけではないので、標準で表示されると思われる。

iOS 10 も結構優秀で、ほぼ表示できたが、U+16F1 ~ U+16F8 の8文字が表示できなかった。 下表ではウルティマオンラインの「K」に対応する文字が表示できない。 Mac は持っていないが、おそらく同じ状態だと思われる。 また、Windows 10 と iOS 10 では字形はほぼ同じだった。

Android OS はバージョン6.0しか持っていないが、全て表示できなかった。 Android 7 以上の新しい環境で表示できるかは不明。

対応一覧表
ラテン文字 Unicode ゲルマン共通ルーン文字 アングロサクソンルーン文字 中世ルーン文字 ウルティマオンライン トールキン
A ᚨ、ᚪ、ᛆ ᚫ、ᚪ、ᚩ
B
C (ᚲ)
D ᛞ、ᛑ
E ᛖ、ᛂ
F
G ᚷ、ᚵ
H ᚺ、ᚻ、ᚼ
I
J
K ᚴ、ᛱ
L
M ᛗ、ᛘ
N ᚾ、ᚿ
O ᛟ、ᚩ、ᚮ
P ᛔ、ᛕ
Q ᚳᚹ
R
S ᛋ、ᛊ、ᛌ ᛌ、ᛋ
T ᛏ、ᛐ
U
V ᚡ、ᚢ
W ᚹ、ᚥ
X ᛉ、ᛡ
Y ᛦ、ᚤ、ᛨ
Z

はてなブックマーク
X
Bluesky
Facebook
Pocket