言海(国語辞典)
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大槻文彦が編纂した国語辞典「言海」。
言海
言海は国語学者の大槻文彦(おおつき ふみひこ)が編纂した国語辞典で、1889年(明治22年)~1891年(明治24年)に出版された。
言葉の海と書いて「げんかい」と読む。
言海は日本の近代国語辞典の始まりとされている。
言海は著作権が切れてパブリックドメインとなっていて、
言海 : 日本辞書. 第1-4冊(国立国会図書館デジタルコレクション)
で無料で閲覧できる。
日本語や国語辞典に興味を持ち、いろいろ調べていくとたどり着くのがこの言海かもしれない。
私も言海の存在を知り、実物を手に入れることにした。
言海には最初の四分冊のほか、一冊本、二冊本、小型版、中型版がある。
さらに冨山房の大言海や、ちくま学芸文庫(筑摩書房)の言海がある。
最も手に入れやすいのは、ちくまの言海だろう。
これは縮刷版言海の覆製版で、巷では、字が小さい、汚い、読みにくいなどと言われている。
ヤフオクにオリジナルの言海が出品されていないかウォッチしていたら、小型の言海が1ヶ月に1度くらいのペースで出品されているようで、これを手に入れた。
相場は2,000~3,000円前後で、ちくまの言海と同程度。
【表紙】
サイズは実測で、約横12cm×縦16cm×厚さ4.5cm。
かなりボロボロで、背表紙が切れかけている。
【背表紙】
ヤフオクを見ていると小型言海の表紙などのデザインはいくつか種類があるようで、発行された時期により装丁が異なるのかもしれない。
私が手に入れた言海は元の色は分からないが、今は茶色に見える。
背表紙にはおそらく金色で縦に「言海 文學博士 大槻文彦著」と書かれている。
【ご尊顔】
表紙を開くと大槻氏の写真がある。
髭が立派。
【段組み】
収録語は3段組で書かれている。
【ユニークな語釈】
下の写真は言海の話題でわりと見かける「ねこ(猫)」の項目。
「人家ニ畜フ小キ獣、人ノ知ル所ナリ、温柔ニシテ馴レ易ク、又能ク鼠ヲ捕フレバ畜フ、然レドモ、竊盜ノ性アリ、形、虎ニ似テ、二尺ニ足ラズ、性、睡リヲ好ミ、寒ヲ畏ル」などと書かれている。
言海は現代の辞典と違い、独特の語釈で知られている。
【文字の状態】
前述の猫のページもそうだが、このページも文字の印刷状態は良くない。
画数が多い漢字は潰れて見えない。
昔の辞書は旧字体が使われているから余計に見にくい。
また、ページによって印刷の状態が異なり、この写真左のようにわりとスッキリして見やすい文字もあれば、写真右のように太めの文字もある。
言海を手に入れる前は、虫眼鏡を使えば何とか読めるだろうと思っていたが、実際はかなり厳しい。
ちくま学芸文庫の言海の文字が見にくいのは、元がこのような状態だから仕方ない。
【奥付】
ヤフオクの出品を見ると、小型言海は奥付に「言海縮刷」と書かれているものが多いようだ。
明治37年(1904年)2月20日第1版印刷、同年2月25日に発行となっている。
明治41年9月10日第180版印刷、同年9月20日第180版発行、明治43年10月20日第200版発行。
「正價金壹圓五拾錢」と書かれていて、価格が1円50銭ということか。
住所には東京府や東京市などと書かれていて時代を感じさせる。